あべ弘士さん、はるばるありがとう❣️これで「あべ弘士展」はおしまいです。

果たして雪と風に閉じ込められホワイトアウトになってしまった北海道の旭川から、真鶴駅までおいでになれるのかな?とドキドキな日々の後ーー、ついに2月20日の土曜日、「飛ぶ魚」に現れてくださったあべ弘士さん!ほんとうに嬉しくありがたかったです。
待望のトーク会ではみなさんの自然な笑いを誘う語り口で楽しませてくださいました。25年間の旭山動物園での勤務で、大好きだった絵の仕事のことなどすっかりどこかにおいて、飼育係の仕事に夢中だった。(25年ほど前私が初めて伺った頃の旭山動物園は小さな町の動物園で、あべさんの描かれた楽しい案内があちこちにありました。そして動物たちの姿をそのまま楽しんでもらえる動物園にしたい、という情熱を持って園長以下スタッフがみんなで熱く語り合い、実行されてきた結果、今や全国から人々が見にくるすっかり有名な動物園になりました。)「旭山動物園日誌」という素敵な絵と文章の一冊を目にして、絵本をお願いしに行った福音館書店の科学絵本の編集のものもいました。そして私は、北の人、神沢利子さんが実際にご覧になり驚かれたオットセイの踊りを、な音頭として描かれたテキスト「おっとせいおんど」を持って絵をお願いしに行きました。それがなんとあべ弘士さんの初めての絵本「おっとせいおんど」(福音館書店)となりました。旭川の児童書専門店「こども冨貴堂」と親しくされてきた神沢利子さん。楚々として、か弱そうに見えるけれど、北の文化についてはエネルギッシュに知見を高められる神沢さんとあべさんはすでに、お知り合いで意気投合してらした。その神沢さんのお話なら、と初めての絵本を引き受けられ、のびのびと言葉の面白さを存分に伝えた「おっとせいおんど」の絵本は田島征三さんから絶賛されたそうです。、そしてだんだんと絵本作家として素晴らしい絵本をたくさん描かかれては、数々の賞を総なめにするほどの絵本作家になられました。
 北海道の冬は長く厳しい。10月の終わりころから人々は冬ごもりの支度を始める。食料、特に野菜がなくなるので山のような漬物を作り、毎日温度計でマイナス26、0度になると休校、ということで毎日温度計を見る。冬ごもりの間の過ごし方があり、今の全国のステイホームは、冬の北海道では普通のこと。そして真っ白な雪景色の中で待ちに待った春を感じるのは、温度ではなくて光!光の中に雪柳の最初の緑を見つけた時、春が来たと思う。いつのまにかだんだん冬になり、いつのまにか春になる、というここの人たちとは違う、と笑わせてくれました。
 そしてずっとご自身で興味を持って調べていた札幌の中島公園の氷上カーニバルを、神沢利子さんが子どものとき、実際に行って体験されたと知ったこと、そして神沢さんがシロクマのぬいぐるみを本物、と思って怖かったお話などを伺い、そのお話をもとに絵本にしたのが「氷上カーニバル」(のら書店)。朗読もしてくださいました。現在97歳になられる神沢利子さんには、お原稿をきちんとチェックしていただけて嬉しかった。この絵本は神沢利子さんに捧げられている。
そのあとスピッツベルゲン島に行かれてシロクマの生息地で双子のシロクマを見て、絵本ができたことや、竹田津実さんにアフリカに連れて行っていただいてゾウやキリンを観察された映像も見せてくださいました。
絵本に出てくる動物たちには間違いが多いことも、面白く語ってくださいました。尻尾を巻きつけるサルは中南米のオマキザルだけ、キリンには前歯がないのに、歯が描いてあったりする。あとは、クマのプーさんや、アライグマラスカルやパディントンのこと、など興味津々の動物話もいっぱい。お名残惜しい楽しいトークでした。のら書店でこの絵本を担当された佐藤友紀子さんも、いかにあべさんがきちんと取材をして「氷上カーニバル」を描いてくださったかをお話しくださいました。私自身お祭りの絵本って、楽しさを伝えるのはほんと、難しい、と常々思っていたのですが、これはすごい!氷の上で揺れ動く光と影が、お祭りの楽しさを盛り上げて音楽まで聞こえてきそう、と感動しました。「氷のお祭り、スケートの楽しさ、冬の光など、よく知っている人でないとこれはかけないよね」とあべさんが語られていた通り、あべさんだから表現できた絵本だと思います。
そのあと、たんぽぽ作業所の方々が作ってくださったクッキーをお持ちいただき、サインをしていただきトーク会はおしまいになりました。編集の方たちも見えていたので、オットセイセイ!の楽しい写真も撮れました。私もあべさんと絵本を作らせていただいた時、まだ絵本の編集は新米でドキドキしていたことや、楽しかった旭川での日々などを思い出して、本当に楽しい時間でした。
人数制限のため、お聞きになれなかった方々もいらして、申し訳なく思います。ここに書いたこと以外にもお聞かせしたかったお話はたくさんあったのですが。
次回は3月20日、絵本作家のいまきみちさんが、小鳥の鳴き声の絵本、刺繍作品、刺繍のTシャツなどを展示してくださいます。3月20日にはトークイベントとして今木さんの作品のスライド上映と、インディアンフルート奏者で精神科医のガイネさんの演奏会を予定しております。ご希望の方は早めにお申し込みください。

ギャラリーカフェ飛ぶ魚

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