ずっと聞いていたかった垂石眞子さんのお話!

 9月8日(土)2時からの垂石眞子さんのトーク会。ほんとうにもっともっと聞いていたかった、というすごく楽しくて、しかも絵本を書いている当時のお話や出会った人のお話が、心にしみて、すばらしいトークでした。サイン会では長い列ができて、お一人お一人のお話を聞きながら、ていねいにワンカット入りのサインをしてくださいました。

 はじめに展示中の『わたしのかさはそらのいろ』(あまんきみこ作・垂石眞子絵 福音館書店刊)のお話をしてくださいました。ラフを積み重ねrなかで、だんだん主人公の姿がさだまっていかれること、このお話には画材はパステルとかきはじめられたが、色を重ねるときはフィクサチーフでとめながらしないと、にじんでぼけてしまい、輪郭をくっきりさせるには一手間の苦労があったこと、表紙は別に描いたが、中の傘が一面に広がる絵になったことなど、丁寧に語って下さいました。やっと見つけて取材に行った傘屋さんがはじめは?の感じだったけれど、絵本になったものを持参したところ、と

ても喜んでくれたこと、そして10年近くたってからまだお店あるかなあ、と思いながらハードカバーになった絵本をもって訪ねたときは「あー、あの絵描きさんだ」と感激してくれたことを話されました。そして一冊の絵本を作るときの、こういう取材をと

ての人と人との出会いはご自分にとってとても大事でうれしいことだと言われました。

 そのあとも今は三十代になった息子がまだ小さい時「もりのおくりもの3部作」(福音館書店刊)を描いていた、そのとき編集の人が大変そうな垂石さんが絵を描いている間、近くの河原で子どもをあそばせてくれていた、一冊の絵本ができるまでに関わってくれたさまざまな人への思いといっしょに本がある、ということも話されました。またそうやってできた絵本が、会ったことのないたくさんの人とつながっていくことを、「小さい時この絵本が好きでした」という人に出会うことであらためて知って、ああこの仕事をやっていてよかった、と思うことができる、と。

 それから出てくる動物は基本取材でしっかり実物を見る。『ぼくびょうきじゃないよ』(角野栄子さく 垂石眞子え 福音館書店刊)に出てくる熊のお医者さん、こわくてあたたかい熊が描きたかった。大口を開けた熊をかくとき、動物園で食べ物を口に向かって投げてはなんども投げては熊に口をあけてもらい、歯の数も間違えないようにしたこと、それから『月へミルクをとりにいったねこ』(アルフレッド・スメードベルイさく ひしきあきらこ やく たるいしまこ え 福音館書店刊)の絵本では、ニワトリがでてくる。そのころかしこいニワトリを飼っていて死んでしまったけど、この絵本の中にはそのニワトリを描いてあること、それから子どもたちのミルクがなくなった猫が月に行けばミルクがある、と聞いて、いっしょに行ったものたちがみんな脱落しても、ひとりで「こねこたちのために なにがなんでも ミルクを てにいれよう」と力いっぱい月へ向かって走っていく場面について話されました。この場面「おかあさんは、あなたのために、こんなにがんばってるのよ」といわれるのは子どもにとってたまらない、だからそういう絵ではなくて、「わたしがミルクをとりにいきたいから行くの!」というおかあさんの前向きな姿勢をかきたくて、校正刷りがでた後だったけど、なっとくがいくように書き直した、と言われました。

 絵で表現するということは描く方の生きることへの感じ方に支えられているということがとてもよく伝わってくるでエピソードでした。

 笑いながら泣きながら、聞きました、といわれていた方もいました。垂石さんのくっきりとしたきれいな声とリズミカルで表情豊かに具体的にかたってくださるお話にすっかり魅了されたすてきなひとときでした。

 いつもこんなにすてきなお話、絵本がすきで、絵が好きなたくさんの人にきいてほしいな、と思ってしまいます。垂石眞子さん、ありがとうございました。96歳のおばさまもおいとこさんもよくきてくださいました。垂石さんがみなさんから愛されて大きくなられたんだなあ、とうれしくなりました。

 トーク会の前にゲリラ雨が降りみなさん大変な思いをしてかけつけてくださいました。テラスにおいたクッション類もぬれてしまい大急ぎでとりこんだりして。

 でも雨が上がるとそれはきれいな、絵本の絵のような青空でまるでこの絵本のために

雨が降ってくれたみたいね、と垂石さんと話していました。すると夕方ひとりでテラスに座ってらした垂石さんの声が。「虹!虹よ!」出てみると、きれいな水色の空にうっすらと虹が見えました。『わたしのかさはそらのいろ』のラストとおなじように。

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