楽しかった堀川真さんのトーク、ワークショップ

3月30日(金)よく晴れた日の午後、堀川真さんのトークとワークショップのイベントがありました。展示中の絵本『あかいじどうしゃよんまるさん』(福音館書店刊)

のお話ができあがるまでを映像を交えて丁寧に追って楽しく語って下さり、くつろいだ暖かい雰囲気がひろがりました。この絵本の主人公小型ランドクルーザー「よんまる」には約20年前に旭川に行ったとき、乗せていただいたことがあります。もう古い自動車でしたが、気持ちのいい北海道のひろびろした風景の中を風にふかれて、旭川から旭岳まで連れて行っていただいた爽快感は格別でした。その後堀川さんは長い時間をかけてこの古くなった愛車を主人公の絵本の構想を練られました。私はその編集担当だったのですが、お話ができるプロセスの中で、「この展開だと主人公は自動車でなくてはいけないのでしょうか」とか「これで自動車はしあわせなのでしょうか」と申し上げたらしく(今となってはよくおぼえていないのです)その結果、堀川さんは小型トラックになったよんまるをかっこいいなあ、と思った記憶に促されて、今のようにトラックになって再生する絵本となったと話されました。映像で今も南極にゴミ輸送用に持ち込まれた、トラックのよんまるが居る映像を見せてくれて、なんだか絵本のよんまるが今は南極で活躍しているように思えて、お話の続きを見たような思いでした。一冊の乗り物絵本が出来るとき、どんなに作者の愛情がそこに吹き込まれていくか、よくわかるお話でした。

そのあと、語り継がれること、について少し触れられて、おじいちゃんたちから生々しい戦争のときの体験を語られることと、ちょっと離れて観念的に戦争を語られることの、こちらの心に残る残り方の違いが気になっていると話されました。

最近サトクリフの『王のしるし』(岩波書店)を読んだのですが、ケルト地方の部族間の争いに王として担ぎ上げられたもと奴隷の男の戦いのようすを、ものすごい血の量でこれでもかと描いていて、はじめとまどいましたが、でもそこに高潔な魂がはぐくまれていく物語に心奪われました。何をどう表現して、人間の大事な在り方を伝えるか、その課題は今、とても重要と思います。

あとは紙とセロテープと洗濯ばさみでつくる、ものすごくよく飛ぶ、飛行機、ロケットづくり。かんたんにできるひらひらとまわりながら落ちてくる折り紙。その日はおとなの参加者がほとんどだったのですが、みんなで楽しんでつくって飛ばしてあそびました。おみやげは「たんぽぽ作業所」のみなさんがつくってくれた「オリジナルよんまるクッキー」でした!

夜の部は夕食会。堀川さんの長男11歳のさとくんが、自分の住んでいる北海道の吹雪

の中を通学する様子、北の動物たちのことなど、生き生きと語って、座を盛り上げてくれてたのしいひとときでした。

堀川さんご一家は日曜日早朝に湯河原をたたれ遠路北海道の名寄に帰られました。はるばる湯河原に来てくれてほんとにありがとう!東京でもない、避暑地でも、観光地でもない、海と丘のあるここを、大きくなってちょっとでも憶えてくれているとうれしいです。

 

ギャラリーカフェ飛ぶ魚

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