沖縄の島に行ってきました。

沖縄の離島、鳩間島と西表島に行ってきました。島一周が1時間でできてしまう小さな鳩間島。初めの3日間は雨降りで、雨がやむと民宿から歩いてすぐの海に入って魚と泳いだり、あたりを散歩したり。そのあとは強い南風とともに梅雨があけ、なんともきれいな鳩間ブルーの海でたくさんの魚たちと泳ぎました。そして、なんといっても素晴らしく気持ちがよかったのは、泳いだあと、民宿の前の広場の木陰で、寝椅子をひろげて、ビール片手に本を読んではうとうとし、風に吹かれていたときでした。まいにち泳いでは、読んで、飲んで、寝て。ほんとうにのんびりできて、幸せでした。いつも細切れになりがちな読書の時間もたっぷりとれたのもうれしかったです。読んだのは村上春樹の『海辺のカフカ』。ずっと前から読みたかったのに読まなかった一冊。内面の苦しみを感じないようにタフに生きていくすべを身につけたはずの15歳の少年が否応なく、内側への旅をさせられていく、そのスリリングな境界は私たち自身も持っているはずのものなので、こんなに彼の旅に吸い寄せられるのだろうと思います。静かな「ふつう」を保つ老人に魅せられつつ、海辺の風に吹かれていました。それともう一冊『たぶん、なんとかなるでしょう』(堀川真著・福音館書店)『母の友』に連載の漫画をまとめた新刊。男の子ふたりに翻弄されるおかあさんとおとうさんの日常を、子どもというものの不思議と楽しさを、そして大人にとってのひどさを、あれこれの状況の中で描きながら、まとめにはいることもなく、かといってドタバタにもならず、それぞれの一コマをふわっと終わらせる力量に感服。じつに楽しんでよめました。もう、ほんとに、どうなっちゃうのかしら、この子たち!と思いつつ奮闘しているパパママにぜひおすすめの一冊です。

 宿のおかあさんのごはんのおいしかったこと! そして来ていたのはどの人も丹をのぞいては20代から50代の一人旅の女性たち。つかず離れずの距離を保ちながら、それぞれの今をゆっくりずごしている感じがなんともよかったです。

 後半は西表島へ渡り、ダイビング。久しぶりだしもうおばあさんだから、大丈夫かな、と不安もありましたが、信頼できるインストラクターのおかげで、ほんとうにきれいなものをたくさんみせていただきわくわく特別な経験ができました。やっぱりダイビングは、海の中は別の世界だということを見たり、感じたりできるなあ、と。カフカ少年が入り込まなくてはならなかった未知だらけの世界は陸のすぐ地続きの海にもある、私たちはいつだってわからない世界と隣り合わせに暮らしているんだ、と。

 西表島の中でも船でしか行けない入り江がいくつかありますが、その一つ船浮という場所にも。そこは緑の小山を抱いた地形に囲まれた、不思議な海。シュノーケリングで見た海の中はどこも明るくきれいな魚がたくさんいました。昼ごはんのあとの、村の案内がまたのーんびりとした感じでおもしろく、泳いで、その近くの村を歩くというのもいいものでした。第2次大戦時には軍の要塞地となり、住民は村を追い出されて、軍人だけが住み、防空壕をほり、敵の攻撃にそなえたということで、ガイドしてくれた方の実家の一部が資料館になっていて、当時の資料や祭りのようすなどの展示がされていました。ちょうど沖縄の慰霊の日だったので、その日の新聞の写真をとってきました。小学生、中学生それぞれ二人、先生は10人という緑に囲まれたきれいな学校では運動会は村中の人、島の他の村の人、近くの鳩間島の人たち、観光の人もはいってみんなで盛り上がるそうです。しかも景品がでる!鳩間島の運動会の景品は島の野生の山羊や海産物だったりするそう。

 海では、カメたちの休みどころにも連れて行っていただいて、おとうさんカメや子どものカメたちがじいっと休んでいたり、ゆっくりゆっくりと泳いでいく姿をたくさん見ることができました。アオウミガメが泳いでいる姿をみると、いつも両手をゆーっくり動かしていっしょにどこまでもついて行きたくなります。

 こちらはもう梅雨いりしたのですね。一足早い夏休みも終わり、きょうからまた日常の暮らしにもどります。日常の隣にあの海があり、意識の境目に救いへの道があることを忘れずに感じてくらして行きたいです。

ギャラリーカフェ飛ぶ魚

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