東郷聖美さんの存在感がいっぱいのトーク会!

3月10日から始まった東郷聖美展。11日、6年前に東日本大震災が起こった日、「飛ぶ魚」では東郷聖美さんのトーク会がありました。人はひとりひとり違っていて、かけがえのない一人が、自然災害と人間の生み出した原発の災害によって、亡くなったり、それぞれの災禍をひきうけて歩んでいる、そのことを忘れないで暮らしていたい、と思います。東郷さんのお話は、ひとりひとりの人にその人の歩みがあることが、尊い、という思いとともに、強く印象づけられたお話でした。

 はじめ展示中の『わたしはせいか・ガブリエラ』(「こどものとも」福音館書店)を読みながら、南米のボリビアの日常の暮らしのあれこれを話てくださいました。黒板代わりに大きな模造紙に絵を描きながらのお話はとてもわかりやすく、サッと描かれる絵がまた可愛くて、お話を楽しんで聞くことが出来ました。4年間、とにかく4000メートル以上の高地での暮らして、水がなく水の確保、再利用、は大変だったと言われていました。

 旅好きの東郷さんがボリビアに行くきっかけとなったフォルクローレのグループ「ロス・カルカス」の演奏を流しながら、ボリビアの楽器をいろいろ紹介して音を聞かせてくださいました。もとはアルマジロでできたチャランゴ、縦笛のケーナ、たくさんの管をつなげた葦の笛サンポーニャ、素朴な汽車の音がでる笛、たくさんの山羊の爪を束ねて鳴らすものなど。

 そして同行してくれた東郷さんのすてきな娘さん、この絵本の主人公だったときは5歳だった「せいかちゃん」が今年20歳になられる、に時々語りかけるように話される東郷さん、それに短くコメントするせいかちゃん。すてきな母娘の姿も見せて下さいました。東郷さんは、せいかちゃんの出産後2年ほどで帰国されて、ご実家で暮らし、お父様の最後もみとられました。もともと遺跡の発掘に興味があり、その方面のアルバイトをしたり、最近は介護の仕事をされながら、絵を描き、絵本を描き、せいかちゃんといっしょに歩んでこられました。

 昨年出版された絵本『ひーじー』(こどものとも年中向き、福音館書店刊)の絵本も明るい声で読んで下さり、認知症のお父様との暮らしの大変だったこと、楽しかったことなどを語って下さいました。

 そのあとはたんぽぽ作業所の方たちが作って下さった「せいかちゃんクッキー」をいただいてたのしく談笑。「東郷さんのお話、おもしろかったー」と口々にいわれていました。「毎回いろいろな方がそれぞれに切り口で話しをされるのが、刺激的でおもしろい」といつも来て下さる方が言われていました。

 夕食会ではいつものようにテーブルいっぱいのお料理を囲んで、ワインを飲みながら、もっぱら認知症の話で盛り上がりました。身近に認知症の親たちを抱えている人、介護施設で働いている人、そして「わからなくなっても冒険へ向かう気持ちがあるんだ」という発見を語ってくれた人、東郷さんというどーんと正直に生きてこられた方を中心に豊かな時間を過ごすことができたひとときでした。

 すばらしい絵とかわいい人形たち、人気の作品が並んでいます。今度は17日(金)と18日(土)の開催です。(無料)どうぞ実物を見にいらしてください。4月8日(土)にはケーナの会も予定しています。(1000円)