明けましておめでとうございます

 2017年は澄んだ空気の一日ではじまりました。わたしたちのつつましい暮らしをおびやかす動きが顕著になってきています。そんな動きに対して何ができるのか、を考えながら、「飛ぶ魚」を中心とする暮らしの一つ一つを心をこめて営んでゆきたいと思います。それと同時にきちんと物事の動きを把握する努力もおこたってはならないのでしょう。考えること、感じてしまうことが気持ちをマイナスにもっていくことも多い日々ですが、毎日海から朝日はのぼり、日々を明るくあたためてくれていることに、私たちが今生かされていることへの感謝の気持ちをいだきます。年末どうしても体が動かず片付けが出来ないでいたとき、友人がリンゴのケーキのレシピとユズチェッロのレシピを送ってくれました。おいしいケーキを作って食べたい、甘くて香りのよい強いお酒を飲みたい、という食いしん坊の一心で台所に立ちました。どちらもおいしくて、少しずつ体も動くようになりました。

 冬休みに気持ちを温めてくれたものに、ほかには『蜜蜂と遠雷』(恩田陸著・幻冬舎)という本がありました。ピアノコンクールに参加した何人かの若者と、審査員の一人の女性、をオムニバスふうに描きながら、全編にピアノの音が聞こえてくる本でした。予選、本選の演奏の描写に思わず自分も観客席にいるような気分になりました。本を読んでいる間中、ずっとピアノ曲のCDを聞いていました。音楽がある、というだけで、なんと人は救われることだろう、と思います。音は空気中を流れ、次の瞬間には消えてします。目にも見えず、なんの実益もないものなのに。

 役に立つこともだいじだけど、役に立たないようにみえて、実は人の心を元気にしてくれるものも、とてもとても大事だと思います。絵本もその一つです。外側からは見えないそういうものたちをいっぱい呼吸しながら、暮らしたい。もろいようで、強いのはそういうものかもしれないです。見えないから壊すことも出来ない。

 2017年はどんな年になるのでしょう。今年予定している展覧会を楽しみながら、みなさんからお力をもらいながら、「飛ぶ魚」も飛んでいたいです。今年もどうぞよろしくお願いいたします。