楽しく励まされた鹿目佳代子さんトーク!

1月10日(土)の午後2時より、鹿目佳代子さんのトークの会がありました。夫君の尚志さんがお隣に控える中、87歳とは思えない活気のあるお話ぶり、そして尚志さんとの掛け合いに、会場はわきにわきました。「あるがままのわたし」というタイトルのままの、いつものまんまの佳代子さんが、みなさんの前にいらっしゃいました。まず天真爛漫で幸せだった幼少期のお話からはじまり、戦争の時、ヤケボックイのようになっている人々を見ながら歩いて、動員の仕事に通っていた少女時代のこと、その「怖いとも思えなかった」ほどの惨状、戦後極貧の中で働きながら美術の道を支えてくれた気丈で美しかったお母様のことを、どうしても伝えたいという思いあふれるお話ぶりで話してくださいました。「もう戦争はいやです」と。絵の道をずっと歩んでこられましたが「きれいにかこう、じょうずにかこう、という絵はだめ。ほんとうに描きたいうちにある思いが伝わってくる絵をかきたい」と言われていました。

 お隣の尚志さんが、画学生のころ、2年下のクラスの佳代子さんが地味ながらすてきで、待ち伏せしたりしてアタックされたこと、それから60年以上いっしょにいて、喧嘩もたくさんするけれど、包み隠さず生活して、翌朝にはひきずらないで今に至っていることを楽しく語ってご披露。

 その後佳代子さんが3年前のがんとの闘病のころのことを語られ、毎年同級生たちとやっている銀座の個展にどうしても参加したくて、術後の治療で髪の毛がなくなったとき帽子をかぶって絵を描き、その時いい絵がかけて展示もできた、理解ある主治医のおかげ、と話されていました。またかかりつけのお医者さまもとてもいい方で、「これからですね。まだ準備段階」といってくれてうれしかったこと。「まだ、これからです」と目を輝かせて言われる佳代子さんに会場から大きな拍手がわきました。

 「わたしたち、いつもいいかたたちに恵まれて、しあわせだったわね」と言われる佳代子さんに「過去形じゃないんでしょう?」と尚志さん。「しあわせです」と言い直される佳代子さん。決して平たんではない長い年月を、前向きに、感謝しつつ過ごされたお二人の現在から、力をいただくことができて、こちらのほうこそ、嬉しくありがたく思いました。再現できず残念ですが、とにかくお二人のかけあいが、ほんとにおかしいのです。毎日それぞれストレッチに励むおふたり。「運動神経ゼロのこの人が一生懸命手足を動かしたり、歌にあわせて体動かしたりしてるのを見るとわらっちゃうんだよね」「なによ、尚志ちゃんだって。ほんとに口がよく動くこと。おしゃべりで」という具合でとにかく仲良しのお二人でした。

 国際的なパッケージデザイナーであられる鹿目尚志さんは商業ベースの仕事をされながらも銀座和光で作品展をされるようなアーティストです。お二人のアートが生まれるベースになる「初々しい気持ちを保ち続けられている」ことが、よく伝わってくる一時間半でした。もう狭い「飛ぶ魚」はいっぱいだったのですが、もっともっとアートを志す若い方たちにも聞いてほしいお話でした。