8月9日から勝山千帆展がはじまります

『ちいさなほしのかけら』(至光社)より
『ちいさなほしのかけら』(至光社)より

『飛ぶ魚』のお休み明けは8月9日(土)からの「勝山千帆展」です。勝山千帆さんは湯河原在住の絵描きさん。真鶴・湯河原の海や山を歩き、自然といっしょに呼吸をし、海や森、小石や貝、植物や虫たちをていねいに描いています。どの絵にも澄んだ作者のまなざしと、清潔な筆遣いが感じられます。

 夏が来て、ときどき海に入っています。私は岩場が好きなので、真鶴の琴が浜とか、高浦の海に行きます。海に入ると、まわりじゅうが水で、海底の岩があり、海草のあるところに行くと、たくさんの魚が泳いでいます。無音の水の中に、たくさんの生物がくらしている、地上とは全く違う世界がひろがっている。体に重さがなくなり、ばあっと海という宇宙の中で浮遊している。陽の光が海に差し込み、魚たちが泳いでいる、この勝山千帆さんの絵そのままの世界の中にひたるときに、どうしてこんなにうれしいんだろう、というくらい幸せになります。この感じが好きで、東京に住んでいる時から、20年近く、週末になると真鶴の海に入りに来ていました。また、秋や冬にはよく幕山や南郷山にのぼって、時々の植物を見つけたり、きらきら光る海をながめながら下山するのもたのしかったので、いつか湯河原に住みたいなあとずっと思っていたのです。今、こんなに大好きな海や山の近くに暮らすことができて、ほんとうにうれしいです。

 ですから、ここの自然を心を込めて描く勝山千帆さんの展覧会を「飛ぶ魚」で開催できることは、私にとって大きな喜びです。千帆さんの絵を見にいらっしゃることを、夏休みの行事のひとつにしてくださるとうれしいです。

 自然そのものの力は人間にとってはかりしれなく大きなものですが、そこから自分なりの美をくみとって描き表現することは、人間にしかできない営為です。ひとそれぞれに感じ方、描き方は異なりますが、すぐれて表現された作品は見る者のこころをゆさぶり、自然そのものをより深く感じさせてくれる力があります。だからいい作品との出会いはその人を支える力にもなると思っています。「子ども」という存在も、未曽有の「自然」に限りなく近い存在のように私には思えます。ですから絵本にもまた同じような出会いがあります。「飛ぶ魚」はそんな出会いを用意できる場所であることを願っています。