梅雨入り

すずらん
すずらん

 梅雨入りし、湯河原も雨また雨。ミカン畑も海も木々もぜんぶ降り続ける雨に洗われて、静かにしています。こんな雨降りでも、お昼前に「飛ぶ魚」を訪ねてくださった方たちが何人かおいでになり、カボチャ入りのミネストローネと、ラタトゥイユ、インゲンのごまあえなどと酵素玄米のごはんをめしあがってくださいました。午後のティータイムにも、何人かのかたが今日のコーヒー(ボリビア)の香りをたのしみ、西村繁男さんの『やこうれっしゃ』の原画をじっくりとながめ、「あからん絵」「あからん絵皿」を楽しんでいかれました。すごい雨なのに、「飛ぶ魚」でのひとときを楽しんでいかれて、うれしかったです。

 そうそう、展示中のひとつづきの「やこうれっしゃ」オリジナル手作り絵本を前に、近くの小学生のDくんと見ていて、うしろみかえしに貼られている仲良さげな男女の絵を、二人で探したのですが見つからず、これはこのオリジナル続き絵本をつくったSさんのいたずらにちがいない、という結論になったのですが、いらした方と原画を見ていたら、見つけました。別れを惜しむカップル、駅にはつきものですよね。毎回ながめるたびに新しい発見のある原画です。ぜひ、一度見たかたでも、またゆっくり見にいらしてください。おまちしています。

 きょういらしてくださったかたが、お庭に咲いた白い花の花束、そして別のかたが北海道で咲いたすずらんの花束をもってきてくださいました。

 そとの雨の流れるように降るようすを、白い花たちが涼やかに眺めていました。

 昨日湯河原図書館でおこなわれた小澤俊夫さんの「昔話」についての講演会、すばらしかったです。この方は小澤征二さんのお兄さんですが、私たち子どもの本の編集をしていたものたちは、小澤先生の著書から多くを学んできました。全国各地で「「昔話大学」もひらかれていますが、私は先生の講義(講演)を聞くのははじめて。もうはじめの「馬方とやまんば」の語りから、ものすごくわくわくしてしまって、自分でも不思議でした。お話を聞くということに渇望していたのかもしれません。そのあとの昔話の文法のお話もたいへんわかりやすく、語り口がなんだか、すっかり安心して聞きたくなるようで、しかもことばが自然に体にしみこんでくるようでした。

 「寝太郎」の話や「シンデレラ」にみる昔話のメッセージの話になると、これは思春期の子どもとリアルタイムでいっしょに暮らしている親たちに、聞かせてあげたい!という内容でした。「寝ていたからこそできたことがある」「寝ていても彼は起きたという事実が大事」そして「シンデレラ」はディズニーでなく『グリム童話』の話では3回お母さんのお墓に行き白いドレスを受け取り、それを着て舞踏会へ行き、王子に見染められる、しかし帰宅し、また灰にまみれて眠る。なぜこれを3回もくりかえしたのか。ずっと疑問に思っていたが、ある時これは思春期を描いたのだと思った。晴れの姿を見せ、それを他者から認めてもらったのに、また自分から、もとのもくあみへもどることをくりかえす。まるで振り子のように。この振り子のようにくりかえしながら、振り子はいつか止まる。シンデレラが王子と結婚したように、事が終わるときがくる。それを信じて揺れるふりこを見守ることが親は大事ではないか、そうではないかい?と話してくださいました。わたしたち自身がふりこになっている日常も多々あるけれど、それはいつかよりいい形で終わるんだと、昔話は長い長い人間の歴史のスパンの中で告げてくれているのですね。

ギャラリーカフェ飛ぶ魚

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